うにだいすき

日本有数の糞ブログ

Fate/GOでアンリ・サンソンをぶちのめしたので「そういえば」と思い立ち、9巻までツタヤのコミックレンタル。一気に読みふけった。構成が優れている、とか、ものすごく面白いか、と言われるとそうではないのだが、とにかくページの熱量の凄まじさたるや、読み終えたあと、負のフィードバックが来てちょっと精神的にヤバくなったほど。これはやはり「絵」の力である。「孤高の人」を読んだ時も思ったが、別にキャラクター造形が上手いとも、ネームやストーリーで優れた力量のある作家、とは思わない。本作で言えばミュージカル調のシーンなぞはやりたいことはわかるが、演出としてはくどいしセリフも入ってこないから読みにくい。しかしなんかすごいのだ。この「なんかのすごさ」は無論、絵の凄さである。サンソンの処刑執行シーンの数々は日本漫画残酷描写史の現時点ダントツトップと言える。というか、このマンガ自体、坂本眞一の物凄い画力がなければ成立し得ないのだ。池田理代子では無理なのだ(Disじゃないからね!)絵に騙されてる、って言いたいんじゃないですよ。「絵」のステータスに全振りしなきゃ描けない世界とか題材ってものがあるんだよ。すごい漫画なのだ、これは。
つーか、今やってる「ルージュ」?で、どーもマリーの方を主役に据えようとしてるっぽいのはダメじゃね。あの手のキャラは主役を張るべきキャラではないでしょうよ。というか、「イノサン」はイノセンス、無垢で、自由ってのは無垢と最も遠いものじゃない。もしかして誰もが子供の頃の理想や純真を時代とか立場とかの中で失っていく中、マリーだけが子供の頃と変わらない「無垢」である。とかそういうんかもしれんけど、マリーが手に入れたいのは「自由」であって、でもマリーのいう自由っていうのは抑圧から解放されて思うように生きたいってことで、それって無垢とは対極にあるものじゃないの。子供のように自我を通していたいっていうのはただの「稚気」でさ、「自由」てのは自分で自分のケツを拭くということだもの。それは何かの庇護下になければありえない「無垢」とは逆のものでしょ。アンリ自身も「高潔」とか「理想家」ではあると思うけど、イノセントではないよね。時代に翻弄された、というにはちゃんと自分の意志で選んでいるように見えるけど。まあ、そういうのはこの漫画の「凄さ」とはあんま関係ないので、別にマリーが主人公でもすごい漫画足りうるでしょう。

アニメはオープニングだけ見て力尽きた系。最初の方だけパラパラ見て「なんか絵下手じゃね?」と思ったんだけど、後半はうまくなっていったし、連載の方ではもうしっかりしてたんで最初の方はまあ、絵が荒れてただけなんでしょう。中身自体は別にどうのこうの言うようなものでもない。こんなツッコミどころしかない設定をさらっと飲み込めるのだから、つくづく日本の読者というのは大したものであると。9人もいるメインキャラをちゃんと一章一人ずつ掘り下げていくのは丁寧な進め方だが……あー、まあいいや。めんどくさくなってきた。光様がかわいくてすきです(小並感)

本を読まない読書家としてはぜひ読まねばということで読んだが、すばらしい。1巻は「いやあ、おもしれえなあ」くらいだったのだが、2巻の完成度たるや。堂々たる、といっていい。たるを二回続けて使うおれの文才の無さには目をつむっていただくとして、わずか二冊目にしてこの漫画は完成されてしまった。自分の意志で手にとったものは読まないくせに、神林の本はちゃんと読む町田。そして恐ろしいまでの萌えキャラと化した神林。この二人の百合! 往復書簡と笑顔のみかんのエピソードの百合! そしてギャグの切れ味も鋭さを増す。O・ヘンリーの短編のような…とか、春樹キャラのモノマネとか、爆笑。これらのネタが素晴らしいのはたとえ「賢者の贈り物」しか読んでいなくて、春樹もほとんど読んでいない(記憶にあるのは「1973年のピンボール」だけ。「ねじまき鳥クロニクル」は挫折した)としてもゲラゲラ笑えるし、「嫌われる勇気」はタイトルすら知らないのにめちゃくちゃ面白い。読みたくなる。そう、この漫画が素晴らしいのは出てくる本はとにかく読みたくなってしまうことだ。勿論「KAGEROU」もだ。押し付けがましくない、実にサラッとした「この本面白いよ」と気負いのないギャグ。そして百合。いや、神林しおりマジで可愛いよ。ここ最近で一番萌えた。おれも黒い本大好きだよ! でもおれの「虐殺器官」はラノベっぽい表紙のやつだよ。そんなわけで、すごくよい。

艦これ……オワッテナイヨ。