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チリンの鈴/ちいさなジャンボ/バラの花とジョー [DVD]出版社/メーカー: ポニーキャニオン発売日: 2006/11/15メディア: DVD クリック: 12回この商品を含むブログ (9件) を見る

「チリンの鈴」を見る。伊集院光氏がラジオのフリートークで触れていた(おれはポッドキャストで聞いたのだが)サンリオ映画である。サンリオ映画というと、ハローキティのシンデレラ、みたいな自社キャラものか手塚治虫原作の「ユニコ」というイメージだったが、「チリンの鈴」の原作はやなせたかし。言わずと知れたアンパンマンの生みの親だが、「病なせたかし」の異名をとるほどのド鬱作家でもある。おれも子供の頃「やさしいライオン」を読んで、なぜこんな悲しい物語を書くのだとやなせ氏を恨んだものだ。今では有名な話だがアンパンマンの原作も相当鬱。そして、「チリンの鈴」ももちろん鬱アニメなのである。サンリオオンラインショップでのストーリー解説を抜粋。「オオカミに優しいお母さんを殺された子ひつじのチリンは、オオカミに負けない強いひつじになるため、母の仇であるオオカミのウォーのもとできびしい修行を始めます。強さとは、そして、本当の幸せとは何なのでしょうか・・?」
ラストの一文はお母様方に配慮しすぎ。そんな甘いものではない。一旦話がそれるようだが、「悪を倒すのに悪の力を使う」というテーゼがある。この有名どころは「デビルマン」「仮面ライダー」だが、「怪物と戦うものは自らも怪物とならぬよう心せよ」とニーチェを引用するまでもなく、怪物と戦うものたちは怪物の力を振るうのである。そうでなければ怪物とは戦えない。主人公のチリンは母の仇という動機と共に「羊はただ食われるために生きているのか?」という疑問を抱く。なにも狼に食われるだけではない。映画の中には映らないが、チリンはもともと牧場の羊だ。羊毛を取られるならまだしも、長じれば、いや子羊だって食肉にされるかもしれない。弱い者はなぜ死ななければならないのか。チリンは叫び、ウォーは答える、それこそが自然の掟なのだと。チリンはそれを拒否する。狼に、強いものになることを望む。「きびしい修行」の果てに、チリンは異形の姿へ変わっていく。ストーリーのラスト、かつての故郷を訪れたチリンは同族を殺すことを躊躇おうとしない。だが、かつての自分のように母に庇われる子羊を見たチリンは「僕には出来ない」「僕は羊だ!」と叫び、ウォーを倒す。ウォーはチリンにとって師であり、父とさえ呼べる存在にさえなっていた。だが、ウォーがいつまでも仇であることにかわりはない。今際の際にウォーは言う。「お前に倒されて良かった。俺は今、喜んでいる」もちろん幸福な結末などありはしない。すでに「羊でも狼でもないもの」となってしまった異形のチリンは羊たちに受け入れられることはなく、ただ孤独の中に去っていく。
恐ろしくハードボイルドなアニメだ。これは「男」の物語である。甘くやさしい「母」との別れ、絶対的な壁である「父」を乗り越える瞬間、男はそうして男になるが、それは幸福なだけであろうはずがない。とにかくいろんなものを内包しすぎていて一言で表せるほど単純ではないのだが、ただひとついえる事は「おれガキの頃このアニメ見なくて良かった!」ということに尽きる。いやしかし戦争体験してる世代は半端じゃねえや。なんていうか、「頭」で考えてないよな。
アニオタらしくスタッフに言及しておく。監督は波多正美氏。サンリオ映画を数多く手がけており、最近も「犬夜叉」「頭文字D」などで活躍する虫プロ出身の演出家である。「行け!稲中卓球部」なんかも監督してるとか。最新作は「ねずみ物語〜ジョージとジェラルドの冒険〜」ということでやっぱりサンリオ映画を手がけてるのか。
http://sanriomovie.com/nezumi_top.html併映は「シナモン」しかも杉井ギサブロー
作画マンでいうと平田敏夫氏。虫プロ出身の大ベテランであり、現在は波多氏と同じくマッドハウスに在籍している。「DEATH NOTE」コンテなどマッドハウス作品で活躍中。
声優はチリン=松島みのり(幼少期)神谷明(青年期)。勘のいい方はお分かりであろうがミート君が成長してキン肉スグルになったのである。ウォーは加藤清三。星一徹であり破壊大帝メガトロンである。ちょう豪華。

HG 1/144 MSJ-06II-A ティエレン地上型 (機動戦士ガンダム00)

HG 1/144 MSJ-06II-A ティエレン地上型 (機動戦士ガンダム00)

とりあえずガンダムは1/100で集めることにして、HGでは敵メカをチョイス。いや見事なデブメカ。見事なゴリラマッチョ。かっこいい。太い、重い、弱い! しかし長年アニメメカファンをやっているが、まさかマスプロダクツの商品で福地デザインだの寺岡デザインだのを入手する日が来るとは思わなかった。